マツムシソウ Scabiosa japonica



マツムシソウ
(高根村 2003. 8. 3)



マツムシソウ
(高根村 2013. 8.15)

涼風の立ちはじめた草原に、淡い紫色の4〜5cmある花を一面に咲かせる。高原の秋を彩る代表的な花である。和名の由来についてはマツムシ(昔はスズムシのことをマツムシと呼んだ)の鳴くころに咲くからとの説や、大阪住吉に残る松虫塚の由来説、六部(巡礼)の持つ松虫鉦が花が終わったあとの頭花に似ていることによるとの説などいろいろあるが、いずれにしてもマツムシ(スズムシ)に関連する名であることは確かである。高原の草地などに越年草であるが、低山や平地にも見られ、そのような場合、花は小さくふちどりの花びらもまばらで、高原の花のような美しさはない。頭花は多数の小花からなるが、まわりをとり巻く小花だけは先が5つに別れ、外側の裂片が大きく発達して頭花のはなびらの役目をし、4本の雄しべは小花から突きだす。花のあとは花床がふくれ上がり、イガグリ坊主のようになって人目をひく、この属は世界に60種類以上あり、とくに地中海沿岸に多く、セイヨウマツムシソウのように園芸化されたものも多い。
花期:8〜10月、生育地;山地

参考文献:「山渓カラー名鑑 日本の野草」山と渓谷社
               「葉でわかる樹木」625種の検索 馬場多久男 信濃毎日新聞社