ヤマキチョウ Gonepteryx rhamni

 
コオニユリの花に吸蜜するヤマキチョウ♂
(岐阜県某所) 

タンポポの花に吸蜜するヤマキチョウ♂
(長野県木曽町 2013.5.24) 



タンポポの花に吸蜜するヤマキチョウ♂
(長野県木曽町 2013.5.24)


形 態 前翅長30〜35mm。前翅端と後翅の一部が突き出る特異な翅型をもつ。翅表の地色は♂が黄色、♀は白色。前・後翅表に橙赤色斑が1つずつある。スジボソヤマキチョウとよく似ており、まちがえやすい。本種は、前・後翅端のとがり方がスジボソヤマキチョウより弱い。翅に厚みがあり、後翅裏面の翅脈が太い。後翅裏面の赤褐色斑の位置がスジボソヤマキチョウと異なる。前翅の前縁〜外縁が桃色。
出現期 年1回、7月中旬より羽化し、8月に多い。成虫で越冬した後、5〜6月ごろまで生き残る。
生 態 山地の林縁、草地に見られ、スジボソヤマキチョウよりはいくぶん飛び方が速い。アザミ類、マツムシソウ、ユリ類などで吸蜜し、♂は湿地でよく、吸水する。
食 草 クロウメモドキ科のクロツバラ。
幼 虫 終齢(5齢)は体長45mm。黄緑色のアオムシ型。体側の白色帯がスジボソヤマキチョウより、はっきり出る。
撮影手記 上1枚:どうしても、岐阜県内でのヤマキチョウの撮影を成功させたいと思い、
    知り合いの方が見掛けられたというポイントに出掛けた。朝7時頃にそ
    のポイントに着き朝食をとった後、辺りを探索した。10時近くになっ
    てもオオミスジやヒカゲチョウ程度しか観察できず、一旦、別の場所へ。
    その後、初めのポイントに戻り昼食をとり、フラフラと。。すると力強
    く、飛翔する本種が現われ数枚の写真を撮った。撮影のチャンスはこの
    一度きりであったが無事に岐阜県産のヤマキチョウの撮影を終える事が
    できた。なお、バタフライ(butterfly)の語源はこの蝶の色(バター)が由
    来といわれている

下2枚:図鑑だけの情報では見分けが難しいと感じていたヤマキチョウの実物と
    食樹であるクロツバラ、それとチャマダラセセリの観察を目的に長野へ
    出かけた。家を4時に出発、現地に7時頃に到着、残念ながら、チャマ
    ダラセセリは姿を現さなかったが、10時くらいから有難い事にヤマキ
    チョウが飛翔し始めたので撮影に取り掛かった。♀蝶は、クロツバラに
    産卵にくるので撮影しやすかったが、♂がなかなか、静止してくれず苦
    労した。その後、岐阜県側で探索をしたが、悔しい事に観察することが
    出来なかった。岐阜県内でも時折見られるとの情報もあり、絶滅とはせ
    ず、しばらくは、長野県側で撮影した写真を掲載することにし帰途につ
    いた。
参考文献: 検索入門 チョウ@ 渡辺康之 著 HOIKUSHA 保育社