テングチョウ Libythea celtis

ヒメジョオンの花を吸蜜するテングチョウ
(美濃加茂市三和町 2001.10.27)


形 態 前翅長19〜29mm。翅表は茶褐色の地色に橙色斑をもつ。裏面は褐色。前翅端が突き出し、後翅は角ばる。下唇ひげ(パルピ)が前に長く伸びるので、テングの和名がある。♀は♂より赤色斑が発達する。
出現期 年1〜2回の発生。成虫で越冬し、本州中部の暖地では5月下旬から6月にかけて、第1回目成虫が羽化する。大部分は夏期にほとんど活動せず秋になって姿を現す。冬でも暖かい日には活動する。第1回目が羽化した後、一部はすぐに交尾・産卵、第2回目の成虫として7〜8月に羽化することがある。
生 態 低山地の雑木林に多く、市街地の公園、社寺林でも見られる。林縁をさかんに飛び回り、地上によくとまる。湿地で吸水したりヤナギ類やヒヨドリバナ、センダングサ類などで吸蜜する。卵は食樹の新芽に1個ずつ産まれる。
食 草 ニレ科のエノキ、エゾエノキ、クワノハエノキ。
幼 虫 卵はビール樽型で乳白色、高さ0.8mm。終齢(5齢)幼虫は体長25〜30mm。一見シロチョウ科のようなアオムシ型。腹脚が大きい。地色はふつう黄緑色、側面に黄色の線条がある。群棲する場合には、体側の下半分が黒紫色になったり、全体が黒褐色になる。これらは相変異と呼ばれる現象とされる。蛹は垂蛹、葉に接するような姿勢をとる。体長16mm、緑色や褐色。
撮影手記 この日はヒメジョオンに複数の「テングチョウ」が群がっていました。恐らくこのあたりには、エノキが自生しているのでしょう。「テングチョウ」は年2回発生する蝶らしいのですが、8月か9月に羽化したものではないかと思います。実に面白い顔をした蝶でした。
参考文献: 検索入門 チョウ@ 渡辺康之 著 HOIKUSHA 保育社