サカハチチョウ Arachina burejana

吸蜜するサカハチチョウ(春型)
(揖斐郡春日村 2004.5.15)

翅を休めるサカハチチョウ(夏型)
(揖斐郡久瀬村 2002.7.30)

仲良く吸蜜するサカハチチョウ(春型)
(揖斐郡春日村 2004.5.15)


形 態 前翅長20〜25mm。季節型が見られ、春型は翅表の地色が黒褐色、後翅の亜外縁と前翅に橙赤色斑があり、前・後翅にかけて黄白色帯をもつ。裏面は赤褐色、黄色線が入り乱れた複雑なもようがある。夏型はイチモンジチョウ類のように前・後翅に白帯をもつ。♀は♂より翅型が丸く、春型では赤色部が発達する。夏型では白帯の幅が広い。
出現期 ふつう年2回の発生。4〜5月に春型が現れ、7〜8月に夏型が見られる。暖地では9〜10月に第3回目が羽化する。寒冷地では7〜8月に春型だけが、羽化する年もある。蛹で越冬する。
生 態 やや山地性、樹林の周辺に棲む。細かくはばたき、路上や草に翅を開いてとまる。ウツギ類、ヒヨドリバナで吸蜜し、地上でよく吸水する。汚物・動物の死体で吸汁することもある。卵は食草の葉裏に1個または数個積み重ねて産まれる。
食 草 イラクサ科のコアカソ、メヤブマオ、エゾイラクサ、ホソバイラクサなど。
幼 虫 体長25mm。若齢は数頭かたまっていることが多い。終齢(5齢)になるとたいてい分散する。頭部に長い1対の突起がある。胴部にはたくさんの棘をもつ。地色は黒褐色のものから黄色をおびるものまで変異がある。
撮影手記 翅を開いて止まる夏型のサカハチチョウは黒褐色の地に白く描かれた逆「八」の字が浮き立ちます。せわしく、羽ばたく蝶ですが地面や花などに良く止まるため、撮影には苦労しませんでした。
参考文献: 検索入門 チョウ@ 渡辺康之 著 HOIKUSHA 保育社