オオイチモンジ Limenitis populi

コンクリートに吸水に来たオオイチモンジ♂
(岐阜県某所)

 

コンクリートに吸水に来たオオイチモンジ♂
(岐阜県某所)

汗を吸汁するオオイチモンジ
(岐阜県某所)

オオイチモンジの蛹(抜け殻)
(岐阜県某所)

飛翔するオオイチモンジ
(岐阜県某所)

ヒヨドリバナに吸蜜するオオイチモンジ
(岐阜県某所)


コムラサキに混じって吸汁するオオイチモンジ
(岐阜県某所)

オオイチモンジの越冬巣
厳しい冬を越せなかったオオイチモンジの幼虫
(岐阜県某所)


形 態 前翅長34〜48mm。日本のイチモンジチョウ属では、もっとも大型。翅表は地色が黒褐色のビロード模様。後翅の亜外縁に橙色斑がならび、外縁は青白色をおびる。裏面は茶褐色、外縁から内縁にかけて青白色になる。♀は♂より大型、前翅表の白色斑が大きく、後翅の白帯が幅広い。
出現期 年1回の発生。♂は6月下旬から羽化を初め、7月が最盛期。♀は♂より1週間ほど遅れて羽化、8月まで見られる。3齢幼虫で越冬する。
生 態 亜高山帯の渓谷、樹林の周辺に棲む。北海道では低山地にも見られる。河原や林間を雄大に滑空し、♂は湿地でよく吸水する。飛び方は力強く、人間が近づくとさっと逃げる。獣糞で吸汁したり、ヤナギ類の樹液を吸う。訪花性はほとんどないが、シシウドなどで吸蜜することがある。♀はあまり活発に飛び回らず、たいてい食樹の周辺を飛ぶ。
食 草 ヤナギ科のドロノキ、ヤマナラシ。北海道ではこれらのほかに、植栽されたポプラ類も食べる。
幼 虫 体長40〜50mm。1〜3齢幼虫は、食樹の中脈を食べ残し、その先に糞をつけて、塔をつくる。さらに、葉先の裏面に、短冊状の細かい葉片を吐糸でつるす。幼虫は中脈上に静止する。体色は黒褐色、背面に白帯をもつ。越冬のときには、円筒型の越冬巣をつくる。4齢までは褐色、終齢(5齢)は最初褐色、やがて緑色に変わる。中胸部にある1対の突起が長い。
撮影手記 オオイチモンジを求め、6年目にして漸く実物に会うことができた。梅雨時期の不安定な天候の中、僅かな日照りに誘われるように飛翔しはじめ、コンクリートに染みた水を吸水しにきたところを撮影した。さすがに♀蝶はドロノキの先端付近を飛ぶだけで下に降りてこず、鮮明な写真を撮影することはできなかった。また、偶然にもドロノキに蛹の殻を見つけ撮影することができた。2日間の撮影旅行であったが、6頭(内、2頭は♀)のオオイチモンジを観察することができた。
参考文献: 検索入門 チョウ@ 渡辺康之 著 HOIKUSHA 保育社