ミヤマカラスアゲハ Papilio maackii

岩の清水を吸水するミヤマカラスアゲハ
(本巣郡板取村八谷谷 2001.8.13)


形 態 前翅長38〜75mm。カラスアゲハとほぼ同じくらいの大きさ。小型の春型では、後翅表の青緑色帯がはっきり現れ、夏型では不明瞭になることがある。後翅裏面に黄白色帯をもつことが多いが、まったく、消失してしまう個体もあるので同定には注意が必要である。前翅表の外縁に沿って黄緑色帯が明瞭、裏面の白色帯は細長い。しかし、九州産では中室まで広がる。♂の前翅表にはカラスアゲハのような黒色性標がある。♀は♂より大型で、後翅表の赤色斑が大きい。
出現期 年2回の発生が主で、春型は4月中旬より現れる。カラスアゲハとの混棲地では、本種のほうが1週間ぐらい羽化が早い。夏型は7〜8月より見られ、寒冷地では年1回、春型のみ羽化する場合がある。越冬態は蛹。
生 態 カラスアゲハと混じって棲むことが多く、飛び方はいくぶんゆるやかに見える。高山帯にも飛来する。湿地で吸水し、ときに♂は大きな集団をつくる。花にもよく訪れ、ツツジ類、タンポポ類、クサギ、ユリ類などで吸密する。食樹の葉裏に1個ずつ産卵する。
食 草 ミカン科のキハダ、カラスザンショウ、ハマセンダン(暖地)。カラスアゲハより食性が限られる。寒冷地ではキハダが主になる。
幼 虫 体長50mm。黄緑色で、胸部の黄色帯が背面まではっきり表れ、1本につながる。
撮影手記 岩の清水に夢中で人間の指が降れても知らん顔で吸水していました。アゲハチョウ科の蝶はタテハチョウなどより、体が大きい分、大らかな性格なのでしょうか。
参考文献: 検索入門 チョウ@ 渡辺康之 著 HOIKUSHA 保育社