ミドリシジミ Neozephyrus japonicus

葉の上で休むミドリシジミ(♀)
(大野郡高根村子の原高原 2002.9.1)



形 態 前翅長16〜23mm。北海道産は小型、裏面の地色は灰白色をおびる。ふつう裏面は茶褐色、Favonius属より暗い。後翅中央部の白色条は細く鮮明、♀ではやや太くなる。後角の橙赤色斑は発達する。♂の翅表は金緑色に輝く。♀は黒褐色、前翅にはいろいろな斑紋タイプが現れる。
出現期 年1回の発生。6月中旬から羽化を始め、7月に多い。ほかのミドリシジミ類より少し遅れる。山地、寒冷地では7〜8月に出現する。♀は9月まで生き残る。卵(卵内初齢幼虫)で越冬する。
生 態 おもに湿地や渓流沿いに棲むことが多く、平地の雑木林にもいる。日中飛ぶ個体もあるが、♂は夕方さかんに飛び、占有行動をとる。クリやノリウツギなどで吸蜜、クヌギの樹液を吸うこともある。♀はあまり活発に飛び回らず、樹幹や枝に卵塊をつくる。
食 草 カバノキ科のハンノキ、ヤマハンノキ、ミヤマハンノキ。
幼 虫 体長20mm。淡緑色で、背面に濃色のもようがある。食樹の葉をつづって巣をつくり、夜間接食する。
撮影手記 初めはカラスシジミかと思ったのですが、後翅の白帯が直線的でなく、湾曲しており、斑紋の配列などからミドリシジミだと教えていただきました。♂も♀も6月上旬から7月下旬頃に発生するそうですが、ゼフィルス類の♀は皆長生きだそうです。9月だというのに多少、翅がすれていましたが、元気に飛びまわっていました。蝶の世界も♀は長生きなんですね〜。
参考文献: 検索入門 チョウ@ 渡辺康之 著 HOIKUSHA 保育社