クモマベニヒカゲ Erebia ligea

吸密するクモマベニヒカゲ
(岐阜県某所 2008.8.3)
 

吸密するクモマベニヒカゲ
(岐阜県某所 2008.8.3)
 日光浴をするクモマベニヒカゲ
(岐阜県某所 2004.8.21)

形 態 前翅長22〜28mm。地色は黒褐色、後翅裏面の橙赤色帯の内側に沿って白色帯をもつので、ベニヒカゲと区別できる。♀は♂よりたいてい大きく、眼状紋も大型、白色帯が太い。
出現期 本州では、早いところで7月中旬より羽化を始める。ベニヒカゲとの混棲地では、本種のほうが1週間ほど発生が早い。雪解けの遅い場所では、8月中旬に羽化することもある。8月に多く、9月まで見られる。北海道では7月下旬より羽化が始まり、8月上〜中旬に多い。9月にはほとんど姿を消す。成虫になるまで、まる2年を要する。1年目の冬は卵(卵内初齢幼虫)、2年目は4齢幼虫で越冬する。北海道産を1年周期とするのは明らかに誤り。
生 態 ベニヒカゲとともに高山蝶とされるが、棲息地は森林限界より下の、亜高山帯にある高茎草原が主。樹林の殆どない高山草原にも見られる。ベニヒカゲよりゆるやかに飛び、活動範囲は狭い。マルバダケブキ、ウサギギク、ミヤマアキノキリンソウ、アザミ類などで吸蜜する。吸水性はベニヒカゲほど強くない。
食 草 イネ科のヒメノガリヤス、イワノガリヤス。カヤツリグサ科のリシリスゲ、ショウジョウスゲなど。
幼 虫 体長25mm。地色は黄褐色、ベニヒカゲより背線が太く明瞭だが、区別が難しい。
撮影手記 【2004年8月21日】
標高2,000m程の河原で昼食をとっていると、ヒラヒラとベニヒカゲらしき個体が横切り、よく見てみるとクモマベニヒカゲでした。個体としては、既にボロの状態でしたが、初めてのクモマベニヒカゲということで、写真に収めました。


【2008年8月3日】
2011年8月8日、2008年8月3日に撮影したクモベニの写真に満足できず、再度当地を訪れた。現地に10時くらいに到着したが、天候は大気が不安定で晴天というより、曇りがちな状況。それでも、数頭のクモベニを見つけ撮影しようと試みた。しかし、3年前のようなチャンスが訪れず、帰宅の事も考え、1時間30分程で撮影を終了。またも、満足いく写真を撮ることができなかった。もう、体力的に限界を感じる1日であり、今回、撮影したものより、2008年に撮影したものの方が、まだ、ましなので掲載することとし、高山蝶の撮影は、これで終了することにした。
参考文献: 検索入門 チョウ@ 渡辺康之 著 HOIKUSHA 保育社