クモガタヒョウモン Nephargynnis anadyomene



吸水するクモガタヒョウモン(♂)
(恵那市 2015.5.29)



ウツギで吸蜜するクモガタヒョウモン(♂)
(恵那市 2015.5.29)



ウツギで吸蜜するクモガタヒョウモン(♂)
(恵那市 2015.5.29)

形 態 前翅長33〜42mm。後翅裏面の地色は淡緑色、不明瞭な白帯がある。後翅表の黒斑は、他の種類より多い。♂は前翅表に1本の発香鱗条(性標)がある。♀は地色が黄色をおび、前翅表の翅頂に白色斑をもつ。
出現期 年1回の発生。他のヒョウモン類に先がけ、暖地では5月中旬頃から羽化する。7〜8月の盛夏には山地、寒冷地をのぞいて数が少なくなり、秋に再び姿を現す。10月〜11月ころまで生き残る個体がある。孵化したあと、そのまま1齢幼虫で越冬する。卵(卵内初齢幼虫)でも越冬するとされる。
生 態 低山地の雑木林に見られ、開けた草原にも飛来する。飛び方はゆるやかであるが、人間の気配に敏感で、近づくとすぐに飛び立つ。アザミ類、ウツギ、オカトラノオ、セイタカアワダチソウなどで吸蜜、地上で吸水することも多い。獣糞で吸汁する場合もある。日中、樹林内の葉裏や葉表で翅を閉じて静止するのを見る。♀は食草付近の樹幹、他植物などに産卵する。
食 草 スミレ科のタチツボスミレ、オオタチツボスミレなど。
幼 虫 体長45mm。頭部は黒色、胴部は黒褐色で淡色の棘を持つ。背面に太い橙黄色の縦縞がある。他のヒョウモン類より早くから摂食し始め、成長も早い。
 撮影手記 昨年、メスグロヒョウモンを撮影した山県市へ何度か足を運んだが、ツマグロヒョウモンを見る程度で一向に成果があがらなかったため、東濃方面で見られるとの情報を頂き恵那市を訪れた。朝のうちは薄曇で、アサマイチモンジやダイミョウセセリの新鮮な個体を見かけたが、肝心のクモガタヒョウモンが現われない。場所を変えてウツギを見ていると、どこからかクモガタヒョウモンが飛んできて吸蜜を始めた。何とか撮影ができたが、ボロの個体で不満が残った。この後、複数個所を回り再度、クモガタヒョウモンを撮影した場所に戻り辺りを散策したが現われず。諦めて車に戻ろうとしたところ、地面で2頭のヒョウモンチョウが吸水している。確認してみると新鮮なクモガタヒョウモンとウラギンヒョウモンであった。何枚か撮影し満足のいく一枚を撮ることができた。残念ながら♀蝶は見られなかったが、今年の目標の一つを達成することができた。
参考文献: 検索入門 チョウ@ 渡辺康之 著 HOIKUSHA 保育社