キリシマミドリシジミ Thermozephyrus ataxus



キリシマミドリシジミ
(関ケ原町 2021.7.17)
 

キリシマミドリシジミ
(関ケ原町 2021.7.17)


形 態 前翅長18mm〜24mm。裏面の模様が他種と異なるので区別しやすい。♂は裏面が銀白色、褐色のかすかな縦縞があり、後角は橙赤色。翅表はやや青みのある黄緑色に輝く。飛んでいるときには裏面の銀白色が目立ち、ウラギンシジミを思わせる。♀は裏面の地色が茶褐色、前翅の中央部に白帯がある。後翅は基半部に白色部が広がり、亜外縁も灰白色をおびる。翅表は黒褐色、おもにB型で、AB型も見られる。尾状突起の長さは地理的に変異があり、屋久島産はとくに短い。
出現期 年1回、他のミドリシジミ類より遅く7月中旬頃から羽化を始め、同下旬から8月上旬にかけ最盛期である。♀は10月ごろまで生き残る。卵(卵内初齢幼虫)で越冬する。
生 態 おもに温暖な照葉樹林帯に棲む。一般に山地性であるが、低山地にも棲む。♂は朝から活動を始め、昼過ぎまで活発に飛び回り、占有行動をとる。山頂や稜線に飛来する事も多く、樹上を波打つように、素早く飛ぶ。裏面の白色が太陽光に反射して、キラキラ輝く。地上で吸水したり、翅を開いて日光浴をする。♀は♂と交尾後、産卵を始める。その時期はヒサマツミドリシジミより早い。たいてい低い位置にある、ひこばえの休眠芽の基部に1個ずつ産む。
食 草 ブナ科のアカガシ、ウラジリガシが主。ほかの常緑カシ類、コナラなども食べる。
幼 虫 体長20mm。やや細長いわらじ型。地色は黄色や赤みをおびた橙黄色、背面に明色の斑紋がある。
撮影手記 時期が若干遅かったのか、少し擦れた個体しか撮影することが出来なかったが目の前に降りてきた個体を手を震わせながら撮影をした。開翅もしてくれたが、満足のいく写真は撮ることができなかった。ただ、何とか出会うことが出来たことは運が良かったと感謝の念を抱きながら帰宅の途についた。
参考文献: 検索入門 チョウ@ 渡辺康之 著 HOIKUSHA 保育社