コノハチョウ Kallima inachus

羽化したばかりのコノハチョウ
(沖縄県石垣島 2003.9.21)

木葉のような翅裏のコノハチョウ
(沖縄県石垣島 2003.9.21)

コノハチョウの終齢幼虫
(沖縄県石垣島 2003.9.5)


形 態 前翅長42〜50mm。大型で、裏面は枯れ葉そっくりの模様、形も似ている。翅表は青紫色に光り、前翅に斜めの橙色帯がある。♀は♂より大きく、色彩が淡い。擬態のモデルとしてよく知られているが、翅を開くと鮮やかな模様を持つので、実際に保護色として役立つのか、疑問とする意見がある。土着種ではまぎらわしい種類はなく、迷蝶としてキオビコノハとイワサキコノハの記録がある。いずれも本種より小型。斑紋などが異なる。
出現期 沖縄島、八重山諸島、沖永良部島に生息し、成虫はほぼ周年見られる。成虫で越冬、低温気には少ない。第1回目の成虫は、3〜5月に羽化し、年4〜6回くらいの発生。10〜11月ごろに羽化した成虫が冬を越す。
生 態 亜熱帯の樹林、林縁、渓流沿いに棲む。ミカン畑、サトウキビ畑にも飛んでくることがある。訪花性はほとんどなく、アカメガシワ・ミカンなどの樹液、パパイヤ・パイナップル等の腐果で吸汁する。泡盛(沖縄の地酒)とバナナを混ぜ合わせたものにもよく集まる。♂は占有行動をとり、開けた空間を活発に飛び回る。同じ場所を往復飛行して、ときどき高い葉上に翅を開いてとまる。♀は樹林内を低く緩やかに飛び産卵する。
食 草 キツネノマゴ科のオキナワスズムシソウ、セイタカスズムシソウ。
幼 虫 体長60mm。頭部に1対の突起がある。胴部は多くの棘状突起をもち、地色は黒色。橙色斑がある。
撮影手記 友人から終齢幼虫を頂き飼育しました。時期的なものなのか、飼育ケースのスペースの問題なのか、湿度の問題なのか、蛹化時に落下するものが多く、育てるのには苦労をしました。無事に羽化した個体は数頭でしたが、なんとか、飼育できました。成虫の表翅は光沢のある紫色で南国の蝶らしい美しい蝶でした。
参考文献: 検索入門 チョウ@ 渡辺康之 著 HOIKUSHA 保育社