コヒョウモン Brenthis ino

 

コヒョウモン
(高山市 2015.7.19)

クガイソウの花に吸蜜するコヒョウモン
(高山市 2009.7.20)



形 態 前翅長23〜33mm。ヒョウモンチョウより小型とは限らず、大きさに変異がある。斑紋がよく似ているので区別が非常に難しい。とくに♀どうしの判別が困難なことがある。本種は@外縁が丸みをもち翅型が横に長い、A翅表前右下の黒色斑はヒョウモンチョウよりも大きく、2つの紋がつながることがある。後翅裏面の赤紫色部は、ヒョウモンチョウよりも濃い。翅表の地色は赤色をおびる。♀は♂より、やや大きく、地色が淡い。
出現期 年1回の発生。6月下旬から現れ、7月〜8月に多い。卵(卵内初齢幼虫)で越冬する。
生 態 樹林帯の渓流沿いや周辺の草地に棲む。本州では亜高山帯まで棲息する。むしろ開けた環境に棲むヒョウモンチョウとは、たいてい棲み分ける。ごくまれに混棲する。判別の難しい個体が見られるのは、雑交によるものがあると考えられる。オオハナウド、オニシモツケ、アザミ類で吸蜜する。飛び方はゆるやか。食草の葉裏と、その周辺の他の植物に産卵する。そのまま卵で冬を越す。
食 草 バラ科のオニシモツケ。ときに同科のワレモコウを食べるといわれる。
幼 虫 体長30mm。地色は黒褐色、ヒョウモンチョウより色が濃く、棘状突起が長い。頭部に短い1対の突起をもつ。側面と背面に、黄白色の縦縞がある。終齢(5齢)幼虫は葉表にいることが多く、日中摂取する。
撮影手記 【2009.7.20】
目的の蝶を待つ間、どこからともなく、コヒョウモンとジョウザンミドリシジミが現れた。待つばかりでは退屈なので、コヒョウモンと戯れるつもりで撮影を行った。結局、目的の蝶を撮影するチャンスは訪れなかったが、このコヒョウモンとジョウザンを撮影し、帰宅した。
参考文献: 検索入門 チョウ@ 渡辺康之 著 HOIKUSHA 保育社