コチャバネセセリ Thoressa varia

 
 ツツジの葉で翅を休めるコチャバネセセリ
(山県市 2015.5.2)
 

ツツジの葉で翅を休めるコチャバネセセリ
(山県市 2015.5.2)

花に吸蜜するコチャバネセセリ
(揖斐郡谷汲村 2003.8.19)


形 態 前翅長14〜19mm。裏面は黄褐色の地色、翅脈は黒褐色、黄白色斑をもつ。翅表は黒褐色、前翅に白色斑がある。♀は♂より前翅表の白色斑が大きく、♂の前翅基部に黄褐色の性標がある。しかし、性標は不明瞭でわかりにくい。春型は緑毛が白色、2回目以降の夏型は緑毛に褐色が混じる。
出現期 寒冷地ではふつう年1回の発生、6〜8月に出現する。本州以南の暖地では年2回、5〜6月と7〜9月に現れ、一部3回目が羽化する地域も見られる。おもに終齢(5齢)幼虫で越冬するが、中齢(3齢)幼虫で越冬したという報告もある。
生 態 ササの群落が生える樹林、林縁に棲む。かたまって見られることが多い。アザミ類、ヒヨドリバナ、ウツギなどで吸蜜する。♂は湿地に集まって吸水する。また、動物の糞・排泄物に群がって吸汁するのをよく見る。♂は林縁などで占有行動をとり、敏速に飛ぶ。地表にもよくとまる。
食 草 タケ科のチマキザサ、ミヤコザサ、アズマネザサ。まれにイネ科のススキも食べる。
幼 虫 体長30mm。頭部は大きく、黒色。胴部は淡い黄緑色、頭部のすぐ後ろに黒色環がある。老熟すると体色は白色をおびる。ササの葉の先端を巻いたり、折り曲げて巣をつくる。越冬にあたっては、中脈を食い切って巣とともに地上に落下、そのままか、あるいは巣をひきずって適当な場所に移動して冬を越す。翌春、越冬からさめ、巣の中で蛹化する。
撮影手記 【2015.5.2】
クモガタヒョウモンを探す目的で山県市を訪れた際に撮影しました。複数の個体が飛翔しており、撮影条件は良かったのですが、俊敏に飛び回るため、焦ってしまい、なかなか、良い写真が撮れませんでした。

【2003.8.19】
MIHOさん提供。
参考文献: 検索入門 チョウ@ 渡辺康之 著 HOIKUSHA 保育社