カラスアゲハ Papilio bianor

アザミの花に吸蜜するカラスアゲハ
(揖斐郡春日村伊吹山 2003.8.10)

 

カラスアゲハの集団吸水
(旧久瀬村 2002.7.30)


形 態 前翅長45〜80mm。アゲハチョウ(春型)より大型、翅表が青緑色に輝く。裏面は地色が黒色、後翅に赤色の斑紋がある。地域によって斑紋の変異が大きい。ミヤマカラスアゲハとよく似ているが、前翅裏面の白色帯が逆三角形であることから見分けられる。(ミヤマカラスアゲハは白色帯がまっすぐで細長い)ただし、沖縄諸島産では例外で白色帯が細く帯状。
出現期 ふつう年2回の発生。第1回目の春型は南西諸島を除いて4月下旬より現れる。2回目に羽化する夏型は、7月から見られる。寒冷地では年1回の発生に終わることがあり、逆に温暖な地域では3回目が羽化する。越冬態は蛹。
生 態 飛び方は素早く、♂は渓流沿い・林縁に蝶道をつくって、湿地で吸水する。また、花にもよく訪れ、ツツジ類、クサギ、ハイビスカスなどで吸蜜する。♀は林縁にあるやや日陰の食樹の葉裏に、1個ずつ産卵する。
食 草 ミカン科のキハダ、コクサギ、カラスザンショウ、ハマセンダン(暖地)。
幼 虫 4齢までは地色が青緑色、白色斜帯がある。終齢(5齢)は体長50mm以上。地色が緑色に変わり、側面に黄色の斜帯がある。胸節にある黄色帯はミヤマカラスアゲハのように背面までのびていない。
撮影手記 名前のとおり、真っ黒な出で立ちの蝶ですが、翅の表面はメタリックブルーとメタリックグリーンが混じり、夏の暑い日差しがとても似合う蝶です。この個体以外は空を滑空し、なかなか、吸蜜におりてこなかったのですが、この蝶は人目も気にせず何度も吸蜜にきました。蝶にも性格があるのでしょうか?
参考文献: 検索入門 チョウ@ 渡辺康之 著 HOIKUSHA 保育社