ジョウザンミドリシジミ Favonius taxila

ノリウツギで吸蜜するジョウザンミドリシジミ
(高山市 2009.7.20)

青緑に輝くジョウザンミドリシジミの表翅
(高山市 2009.7.20)

ジョウザンミドリシジミの翅裏
(高山市 2009.7.20)


形 態 前翅長14〜22mm。原記載でミドリシジミと混同され、最近再び学名が変更された。本州中部地方以北の山地では、個体数がもっとも多い。北海道産は小型、裏面の地色が灰白色。本州以南では褐色をおび、大型になる。裏面の中央部にある白色条は細く、北海道産では外側に流れる個体がある。♂の翅表は青緑色に輝き、後翅外縁の黒帯は途中でいったん細くなる。♀は黒褐色、前翅に黄白色斑をもつ。まれに青色鱗粉を散布するものがある。
出現期 年1回の発生。6月下旬から羽化を始め、7月が最盛期。山地では8月にも多い。♀の羽化は♂より遅れ、9月〜10月まで生き残ることがある。卵(卵内初齢幼虫)で越冬する。
生 態 おもに山地のミズナラ林に棲み、低地のコナラ林にも見られる。早朝から活動を始め、日の出前にも飛ぶことがある。♂は地上で吸水することが多く、♀はミズナラの樹液を吸う。また、クリ・ノリウツギの花でも吸蜜する。♂は占有行動をとる。林縁の枝先や下草にとまり、数頭がからみ合って飛ぶ。ほかの種類が混じることもある。日中も活動する個体が見られるが、午後4時をすぎるとほとんど飛ばなくなる。他の近縁種のような、夕刻活動性は乏しい。♀は不活発で、日中に翅を開いて日光浴をする。
食 草 ブナ科のミズナラが主。コナラ、カシワも食べる。
幼 虫 体長19mm。地色は変化に富み、茶褐色(紅色をおびる)が多く、黄色の個体もある。
撮影手記 梅雨どきの晴れ間をねらって高山市を訪れた。早朝、登山道の周辺の草地をジョウザンミドリシジミが飛翔しており、太陽の日に輝く美しい個体の撮影をした。なかなか、近くに止まってくれなかったので、鮮明な写真を撮影することはできなかったが、朝日に輝く青緑に輝く翅の美しさに感動した。
参考文献: 検索入門 チョウ@ 渡辺康之 著 HOIKUSHA 保育社