シータテハ Polygonia c-album

タカネトウウチソウに吸密するシータテハ
(高山市 2012.9.14)

シータテハの翅裏のCの字
(高山市 2012.9.14)

タカネトウウチソウに吸密するシータテハ
(高山市 2012.9.14)


形 態 前翅長24〜30mm。キタテハに良く似ている。本種は、外縁の切れこみが著しい。後翅の突き出しが大きく、その先は丸い。秋型のほうが切れ込みが大きく、たいてい♂のほうが顕著。♀は♂より大型、翅型が横長である。
出現期 ふつう年2回の発生。夏型は6〜8月に現れ、秋型は8月中旬から9月にかけて羽化、成虫で冬を越す。翌年春から活動を始める。寒冷地では年1回の発生に終わることがある。年3回発生する場所もある。
生 態 樹林の周辺、渓流沿いに棲む。キタテハに比べ開けた草地よりも、林のあるところに見られる。♂は地上でよく吸水する。マツムシソウ、ヒヨドリバナ、アザミ類などで吸蜜する。クヌギ、ミズナラの樹液、動物の排泄物、腐果でも吸汁する。飛び方はキタテハよりも敏速、人が近づくとすぐに飛び立つ。♂は占有行動をとり、樹上の葉表にとまって、他の昆虫が近づくと追い払い、またもとの場所に戻る。岩の上で日光浴することも多い。
食 草 ニレ科のハルニレ、エノキ、オヒョウなど。イラクサ科のコアカソ、ホソバイラクサも食べる。地域によって嗜好性が異なり、寒冷地や山地では、もっぱらハルニレが主になる。
幼 虫 体長45mm。頭部は黒褐色、突起はキタテハより少し長い。胴部の背面は黄白色、側面には赤褐色の縦縞があり、棘をたくさんもつ。
撮影手記 クロツバラの探索で高山市を訪れた。クロツバラらしき樹木はあったが、図鑑だけでは、確信が持てないので、もっと事前調査を念入りに行い再度挑戦しようと思う。この日は運よく秋型の新鮮な個体を見つけ撮影を行った。2005年に撮影したシータテハは越冬後の個体であったため、今回撮影した写真に入れ替える事とした。このほか、クジャクチョウ、キベリタテハ、スジボソヤマキチョウなどが観察できた。
参考文献: 検索入門 チョウ@ 渡辺康之 著 HOIKUSHA 保育社