アカセセリ Hesperia florinda



アカセセリ(♂)
(岐阜県某所)



アカセセリ(♀)
(岐阜県某所)
 
 

アカセセリ
(岐阜県某所)


形 態 前翅長14〜19mm。コキマダラセセリ、ヒメキマダラセセリとよく似ており、まぎらわしい。触角の背面は黒褐色。♂の地色は、赤みをおびた橙黄色。翅表の中室下に黒色の斜条性標があり、その中に灰白色の線条が入る。♀は茶褐色の地色。コキマダラセセリより小型で、翅表の黄色斑は小さく、はっきり現れる。裏面の黄色斑も明瞭。
出現期 年1回の発生。7月中旬から羽化を始め、8月に多い。コキマダラセセリとの混棲地では、本種のほうが羽化が遅く、時期が少しずれる。越冬態は卵。日本のセセリチョウのなかで、卵で越冬するのは本種のみ。
生 態 草原、樹林周辺の草地に棲む。やや湿地性のところにいる。カセンソウ、マツムシソウ、ヒヨドリバナなどで吸密、地上で吸水したり、獣糞にも集まる。草の上を敏速に飛び回る。♂は占有行動をとることがある。
食 草 カヤツリグサ科のヒカゲスゲ。ほかの種類やイネ科は記録がない。
 幼 虫  体長30mm。頭部は黒色。胴体は太く灰黒色。ずんぐりとした体型をしている。ヒカゲスゲの細い葉を吐糸によってつづり、巣をつくる。幼虫は夜間、巣から出て接食する。
撮影手記 県内では見ることが難しいと思っていたアカセセリだが、同じ岐阜県内の蝶の撮影をされているWさんから情報を頂き当地を訪れた。1回目は棲息していることは確認できたのだが、敏速に飛び回るためカメラに収めることができず、今回は2回目。朝7時頃に現地に到着し、長竿で下草を叩きながら進み、アカセセリが飛び出し近くの草に止まってくれた所をなんとか撮影できた。しかし、数枚の写真を撮影したところで飛び立ってしまい、もっと良い写真が撮りたいと粘ったがチャンスは3度程で10時頃には個体を確認できなくなってしまった。
参考文献: 検索入門 チョウ@ 渡辺康之 著 HOIKUSHA 保育社