アイノミドリシジミ Chrysozephyrus brillantinus

 

アイノミドリシジミ
(白川村 2016.7.10)
 

アイノミドリシジミ
(白川村 2016.7.10)
 

アイノミドリシジミ
(白川村 2016.7.10)

翅を休めるアイノミドリシジミ
(高山市 2004.8.21)



形 態 前翅長15〜21mm。裏面の地色は褐色。中央部の白色条は鮮明。中室端にも白色線が現れる。♂は翅表が黄緑色に輝き、外縁の黒帯はメスアカミドリシジミよりもせまい。♀の翅表は黒褐色、A型、AB型が多い。西日本ではAB型のほうが多く、逆に東日本ではA型が優占的となる。
出現期 年1回の発生、6月下旬より現れ、7月下旬に多い。山地や寒冷地では7月中〜下旬に羽化。8月にも見られる。♀は9〜10月まで生き残る。卵(卵内初齢幼虫)で越冬する。
生 態 おもに落葉広葉樹林に棲む。♂は早朝から飛び始め、日が高く昇るころには活動を休止するものが多い。メスアカミドリシジミは、本種があまり飛ばなくなったころから活動を始める。このようにミドリシジミ類は棲息地の微妙な違いや活動時間のずれ、活動時期の差などによって、ある程度区別することができる。しかし、天候や棲息地の環境、地域差もあるので、画一的なものではないことに留意すべきである。日中はあまり活動せず、日陰の葉上で静止したり、地上で吸水する。♀は♂の活動時間帯にもあまり飛び回らず、食樹の周辺をゆるやかに飛ぶ。樹上の高いところにある、休眠芽の基部に1個ずつ産卵する。
食 草 ブナ科のミズナラ、コナラ、カシワ、クヌギなど。常緑樹のアカガシなども食べる。
幼 虫 体長18mm。体はやや細長いわらじ型。地色は茶褐色、前半が黒色をおび、尾端近くが黄白色。背面のハの字型の斑紋が明瞭。食樹の芽の鱗片を糸でつづって巣をつくる。一種のカムフラージュ(隠ぺい)と考えられ、色彩もよく似ている。
撮影手記 【2004年8月21日】
 ベニヒカゲ、クモマベニヒカゲ、タカネキマダラセセリの撮影で高山を訪れた
 際に林道の途中で見つけ撮影した。ミドリシジミ類はどれもよく似ているので
 、同定には苦慮する。
【2016年7月10日】
 メスアカミドリシジミを撮影するつもりで撮影したのが、このアイノミドリシ
 ジミ。朝7時30分頃に現地に到着し観察すると既に何頭かの個体が占有行動
 をとり活発に飛び回っていた。望遠で撮影したが、ピントが甘くまた、光線の
 加減で綺麗な黄緑に輝く翅表を撮影することができなかった。来年、再度挑戦
 して鮮明で綺麗な写真を撮影したいと思う。

参考文献: 検索入門 チョウ@ 渡辺康之 著 HOIKUSHA 保育社